マーガレット王女とわたし (アン・グレンコナー)
英国上級貴族の娘で、子供の頃からの王女の友人で、女王の妹であるその王女の女官として仕えた人物が語る、その半生。第二次世界大戦時に少女で、エリザベス女王の戴冠式で裾持ちをした時の話とか、エピソードもまあ、上の方の貴族そのもの。陶器の行商をしてた話は良かったな。紅茶ばっかり飲んでたんだろうな、どうせ。
あとは破天荒な大人子供みたいな夫との生活。生活? って感じではないが、妙にウマがあったんでしょうね。楽しそうな記述だ。充実感がすごい。王女が夫との不和に悩んでいるのを見て若い男の貴族をあてがったりと、気の利く女官としての振る舞いが…
あとは先日の帽子の事件の舞台が出てくるかどうか気になったり。
乳母とか教育係の当たり外れが語られている。制度としての良い点は、取り替えが容易なことかなあ。そう思った。親だとハズレを引いても取り替えるのは容易ではない。
社交界がどうのとか、結婚の描写とか見ても、貴族の娘の人生ってのは、そんなにいいものじゃないんだね。向き不向きの幅が狭いと思う。この人たちが幸せかどうかについては、我々の感覚とはだいぶ異なっているから、分からないね。コストかけすぎてるし、古すぎだろう。
という感じの、スキャンダルにまみれた王室、その中心にいた女官の自伝でした。書き方が上品というか、嫌なことを書いても嫌な感じを受けないのはすごいかもしれない。仲良くはないが尊敬している相手のことはそれとなく分かるように書いている。
スワジランドの花瓶の話はよくわからなかったが、有名な話だったのだろうか。
相続についての話も面白かったな。なんとなく、推恩の令を思う。夫が全部の遺産を現地の使用人の1人に贈った話は、なかなか派手だった。俺は割とそういうの好きだけど、どうせ親族以外に贈るなら、1人じゃなくて多くの人で分けてもらった方がいいんではないかと思ったよ。あるいは役所に寄付するとか。