東方見聞録 (マルコ・ポーロ/青木富太郎訳)
自宅の近所に「丸子」という地名があります。そんな奇縁から読むことになったこの有名な旅行記は獄中で作家に語った内容が書物になった…らしい(獄中と言っても犯罪を犯したわけではなく、敵対国の捕虜になった)。だから、現代に起きたことであれば、著者はその作家ということになるだろうか。あるいはスポーツ選手の自伝のようにライター(インタビュアー)の名前は著者としては扱われないのだろうか。まあそんなことはどうでもいい。
フビライ・ハーンに仕えて、主のために各地の様子をメモって語り楽しませる。その大人物が、我々後死の者におすそ分けだ。ありがたく読ませてもらった。
フビライはこいつの話を聞くの、そうとう楽しかっただろうな。フビライ自体も、モンゴルの風習もあって季節ごとに住居を変えた旅人だった。マルコポーロのような観察力と記憶力に優れた旅人と気が合う、というのはいかにもありそうなことだ。
地図を見ながら読みたいな、と途中で気づいたが遅い。見てきたように語られる怪しげな噂話も多いが、そこは差し引いていただいて。
偶像崇拝の地域が多いな。イスラム教(やキリスト教)は昔はそれほど広まっていなかったから。プレスター・ジョンがたくさん出てくる。何者?
ジパングの話もちょっと出てくる。我々の間では有名だが扱いは小さい。魏志倭人伝よりは多い記述かな。それにしても奇妙な風習が次々に語られて飽きることがない。膨らませたら壮大な絵巻になるだろうと予感させる。