叛逆航路/亡霊星域/星群艦隊 (アン・レッキー)
三部作。設定が生きる独特な描写。秩序から混沌へ。人称もそうだし、複数の視点がスムーズにつながっていく。最初のうちは読んでいてかなり混乱したけど、慣れてくると癖になる?
かなり広範囲にまたがり、文化的にも多種多様な人間という設定だけども、細かい仕草や礼節の扱い方、声色の違いで感情を伝えたり推測することができるという点は自然ではないんだよな。自然ではないんだけど、自然に感じるように文章が構成されている。そのへんも上手いんだろうな。
SFの場合は推理小説と違って設定が結末に生きないこともある。んだけど、「この設定いる?」と思うことも多かったな。そもそもが互換性のある人類が多くの星系にいるわけだから、おそらく一つの星から広がっていく過程があって、そこからダイソン球を完成させたラドチ皇帝による武力統一があって、その後本作による分裂がある…みたいな流れなんだろうと思うが、前半がなくて設定になっているというね。