スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 440億円の借金帳消しを勝ち取った男たち (木下英治)
最近の話だけど、なかなかすごい話だったよ。
「悪の平行四辺形」…すごいなこの言葉を考えたやつは。四角形でも台形でも菱形でもなく、平行四辺形というセンスが良い。「不動産屋はたいがい悪人」つまり「悪そうなやつはだいたい不動産屋」?
この本は弁護士側のライターが書いたようだけど、主人公となるリーダーの人も自ら本を書いてるみたいですね。そっちを読めばよかったかな。
不動産投資は会社とかによく電話がかかってきてたやつの一味ですよね。都内のワンルームの話が多かったかな。私の頃は日本プロパティとかニッテイ(日経と聴き間違える)とかが多かった記憶が。私は不動産投資には興味がなかったなあ。自宅のためのローンなら組んだが。
この話は銀行と不動産屋(運営と仲介)と建築屋がグルになって「中の上」くらいのサラリーマンを騙して自転車操業をしていた。倫理的に一番悪いやつは逃げ切らせ、カネがあって救済のキーになる銀行をターゲットにすることで多くの被害者を救うことに。
私と同じような人たちが億単位のローンを負わされた挙句、約束していたサブリースの賃料も入ってこないと。普通は人生終わりますね。働いて返せるレベルではない。自転車操業のせいで1000を超えるシェアハウスが都内に雑に建てられて、それで部屋が埋まるわけない…というビジネスモデル。
まー確かに銀行のザル審査の落ち度は大きいよ。被害者のほとんどが横浜の支店で借りてたり、無関係な無担保ローンや積み立てをセット販売したり、変なハンコを勝手に押したり、契約者の意思があっても融資を止められなかったり…倫理から外れた金貸しのやることはめちゃくちゃだ。
あと借金帳消しって言っても儲けたわけじゃないんだよな。そこまで払ってしまったローンは戻ってこないし、物件は銀行が持っていったので、担保になっていた物件を普通に銀行が没収した形だから、名目上は別に銀行が損をしたというわけでもないと思う。審査がザルだったり、ぼったくり価格でなければ誰にも問題は起きなかったろう。まあ上京女性向けシェアハウス、というアイデア自体がビジネスとしては成立しなかったわけだけど。