なぜ、わが子を棄てるのか 「赤ちゃんポスト」10年の真実 (NHK取材班)
熊本の「こうのとりのゆりかご」(いわゆる赤ちゃんポスト)に関する取材を重ねた本。NHKらしく読みやすく書かれている。
全国に広まるかと思っていたけど、なかなかどうして最初の1ヶ所にとどまっている。需要はあると思うんだけどな。私としては子供の権利というものを考えてしまう。親となる側が深く悩んだり、無茶して育てて不幸を再生産したり、といったことなくそれぞれの子供が健やかに育てば、それでいいんじゃないのかと。親と一緒にいるってのはそこまで重要な要件じゃないんじゃないか。
子供を捨てるから罪なのか、親を捨てるから罪なのか、と考えると? 私はそれをあんまり罪だと思わないんだよね。親子と言えども、根っこは他人で、自分とはかなり別の人格っすよ。親子だから、夫婦だから一緒にいなきゃいけないってわけでもないでしょうよと。どんな関係でも別離というのはいつかは来るわけで、それが生まれたばかりであっても、20年後であっても、40年後であっても。いずれにしても宇宙から見れば一瞬なのよw
あと序盤に首相時代の安倍さんの反応とかが出てきて、今だと統一教会の教義との結びつきみたいなものも、思ってしまうような内容だったりした。無論この本はあの事件よりも前に出版されている。
この施策のおかげで生を繋いだ少年が立派な受け答えをしていたりしたのを見ても、別離にだって救いはあるんだよね。健全な成長に実の親が必須ってわけじゃ、ないでしょうよ。それだけに場所はもっと増えた方がいいね。そこには想像を絶する労力が必要なのかもしれないけれど。