明治・大正の時期に活躍した農林系の大人物が自分の財産形成を振り返って一般論に落とし込んだ本。割と名著ですね。
基本はしっかりしている。「給料の一部を使わずに生活を続けていれば金は貯まる」。ここまでは誰でも実現できる話。そのはず。その上で、貯まったら分散投資していく。そこでリスクとリターンの見合いを推し量る力量は必要になる。
仕事を趣味にしろ、みたいな話が根底にある。決して仕事をしないで遊んで暮らそうとか、仕事が大事でカネはどうでもいい、ではない。楽しめる仕事をしながらカネも貯めようよと。で、生涯勉強ね。まあそんだけではないんだけど、知的好奇心の探求、物質的な満足。それは理想の人生だ。最後はスッパリと匿名寄付してしまうのもカッコいい。
現代文にしたときの編者が良いのか、読みやすかった。ただ「粕(かす)」とか、現代の用法とちょっと異なる使い方も見受けられるかなー。こういう言葉の移り変わり? みたいなものに意識が行ってしまうと気が散ってしまう。だからって今の我々には、どうすることもできないが。