宇宙へ (メアリ・ロビネット・コワル)
歴史改変SF。第2次大戦直後の米国近海に巨大隕石が落ちたと。爆発と津波の被害の末に大量に海水が蒸発し、気候変動により、いずれ地球には人類が住めなくなると判明、必死の宇宙開発が始まる。
女性/人種差別、ナチスに協力していた科学者とユダヤ人…といった、我々が経験してきた過去と、隕石や宇宙開発といった架空が入り混じり、物語が進む。まあちょっと途中からダレた感があるなー。レディ・アストロノートというシリーズものの前日譚(?)のような位置付けの小説だったらしい。地球脱出後の移住先については特に触れられていないが、火星だよね? 違うのかな?? この本自体は月面基地を作り始めるところまでで終わったが。
人種差別を描くといっても、しょせんアメリカ国内の黒人と白人(と非常に数少ないアジア人)の話だけであって、アジアやアフリカは蚊帳の外なんですよねー。そのへんもシラけるポイントか。時代設定の影響もあるけどね、全地球的災害に対して、国際協力も非常に限定的で、共産圏との協力は時代背景的にないとしても、人口の多い地域を完全無視ってのはSF的考証としてもどうかなと。あとは…性的な描写の多さが気になったが、果たしてここまで高い頻度で描く必要があったのかな? 映画化狙いとか、そういうやつかも?
そういう雰囲気もチラついて、あんまり楽しめなかったな。