紙の動物園 (ケン・リュウ)
教育とかの話で辻褄が…というのが気になってしまう。SFなんですけどね。表題作に関しては、あんな立派な文章を書ける人が貧農で一族全滅した生い立ちで、長年母国語を日常で使う環境にない…というのは不自然に過ぎる。手紙オチのルートが間違いの元? それでも、しっかり読ませるのは凄いが。折り紙のメカニズムの説明があるとよりSFになると思った。でもそれすると純粋な物語としては蛇足になるか。悩ましいところ?
短編集だけど共通するのは、極東アジアなオリエンタルな世界で、現実とは異なる歴史を紡いだ上での寓話…といったところか。莊子の頃からの伝統だからな。諷して曰く…年季が違う。莊子は割と特徴的な言葉遣いで、昔読んだときは印象的だったなあ。思い出すけど、残ってないな。読書体験の蓄積とはそんな程度だ。
この中では、結縄の話が印象的だった。大陸間トンネルの話は、あったなあそんな無茶な構想、と。