レンタルチャイルド (石井光太)
インドの貧民の話。実際この本を読むのは2度目でしたが、相変わらず圧倒されました。目まぐるしく発展していくインドのムンバイを舞台に底辺の人々が、生きるために戦う。乞食、売春婦、ギャング、青年ギャング、ヒジュラ…全員が弱者で、それぞれ憎しみ、争い、食い合う。誰も得しないよこれ…
表主人公の少年乞食のリーダー、裏主人公のガイド。少年はリーダーとして慕われていたがギャングになったり、また仲間のために乞食リーダーに戻ったりしてムンバイでもがき続ける。ガイドは乞食にも見下される底辺中の底辺の立場から、自分の力で、自分だけで這い上がっていく。救いのないリアルな話の連続の中で、このガイドの這い上がりだけが希望か。
タイトルになっているレンタルチャイルドってのは、乞食が同情を引くために赤ん坊をレンタルしてくるんだそうだ。世話をしているうちに情が移ったりもする。子供の多くは同じような境遇になるしかないやつを誘拐してきたりするらしい。で、障害のある子供の方が乞食としては儲かるから、成長してくると目を潰したり腕を切り落としたりするらしい。今まで読んできた多くのひどい話の中でも、極め付けのような話。そしてそのように障害を負わされた子供がさらに成長して…地獄がさらなる地獄を作っていく。表主人公も成長して仲間も死んだり散り散りになったりで、乞食としても同情を引けなくなったため自分で片目を潰している。しかし片目では同情を引くのに十分ではなく、それでいて両目を潰すわけにもいかず。死体を調達して葬式代を恵んでもらおうとしたり。
この話の登場人物って、ちょうど自分と同世代に近い人もいてね。2000年とか2008年とかにこのくらいだと…みたいに考える。この現代にここまで壮絶な世界が、あると。壮絶。
こういうヤバい本が大好きなうちの小学生が、この本に興味を示していた。ものすごく、教育上良くない可能性…