小僧の神様 他十篇 (志賀直哉)
古典的文学作品を読んでみようと。この本は短編集ということもあって読みやすいし、名の知れた代表作が複数入っているので、古典的名作の入り口にオススメかな。現代人が読んでも文章がキレイで内容も深みがある。
異常なくらいの文章力の高さと、家族内の関係からの影響の強さ。あるいはスケールの小ささとのアンバランス? が凄いと思ったねえ。
『流行感冒』は現代に通じるテーマだが、いくつかのファインプレーがあって、いい話になった。表題作『小僧の神様』のオチ(突然作者が出てきて解説)は正直良いと思えなかった。
まあ動きが少ないので、壮大な冒険活劇が好きな人は帰っていただいて。この年齢になると私小説はどうも楽しめない部分は、ある。作家はその人自身ではどうしてもショボいので、それをつらつら書かれても楽しめない。時代背景も現代とは違いすぎるしさ。恐らく共感が難しいんだろうな。
それでも文章の良さは普遍だな。俺も明日から「じっと」を「凝然と」、「本当」を「本統」って書くようにしようかな。それだけで格式が出そうに思う。マジでw
現代人が同じ内容を書いたら炎上するかもね。実在の人の容姿を真顔でけなした挙句「低能な男」と表現してみせたり(悪役じゃなくて「友人のお手伝いさんポジション」の人ですよ?)。『城の崎にて』も山手線に轢かれただの小動物をいじめて殺しただの…普通にヤバい。