幼な子の聖戦 (木村友祐)
中編2本の本。
1本目は田舎の選挙の話で、2本目はガラス屋(ビルの窓拭き)の話。どちらもなかなか印象的な物語だった。
選挙の話は、構図としては善と悪をはっきりさせた上で、主人公をうまい場所に立たせて語らせ、動かした感じ。唐突とも思える終わり方の余韻もじっくり味わえるよね。
ガラス屋の話は、死亡フラグの回収がどうもね、引っかかるんだよね。ただ描写がすごく良かった。自分が通っている会社のビルにも窓拭きの人が来ることがあるんだけど、自分がやることを想像すると足が震えるところではあるよね。俺としては、中から拭かせてもらいたい。あるいはロボットで拭けるようになるといいのかも。自分の家の近所に高所作業の会社の事務所があった。普通のアパートの一室に看板立ててたなー。今は移転したみたいだけど、あるイベントでそこの会社のブースで高所作業体験みたいなのをさせてもらったことを、今でも覚えている。あそこは巨大建造物の検査とかの会社だったから、窓拭きはやってないのかもしれないね。
そもそも何でこの本読もうと思ったんだっけ? それが謎だ。どこかでこの本の評判を聞き込んだんだろうな。まあでも、読んで良かったよ。プロットもいいし、いちいち描写がうまい。引き込まれる。小説家としての技術の高さね。