アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える“真・中間層”の実体 (ジョーン・C・ウィリアムズ)
アメリカの民主党の支持者が、トランプを勝利に導いた支持層を分析した書。かなり正確だと思わせる分析だ。合点がいくし、日本もあるいはこの路線が主流派になる日がありうるかも、と思わせるものがある。最初はこれアメリカ特有のものなのかなという感じもしたけど、日本にだって応用可能な話だと思ったんだ。
ホワイト・ワーキング・クラスというのはアメリカの白人労働者層で、今までは「中間層」つまり富裕層でも貧困層でもないという部分に一括りにされていた人々。それをエリート側(専門職)とそうじゃない側(ワーキング・クラス)に分類し、ワーキング・クラスの苦悩に対応しているのがトランプだった、と。ワーキング・クラスが欲しいのは援助ではなく、安定した仕事。それを勤勉にこなす人生を誇りとしている。
そして、勤勉でないのに権利だけ主張し手厚い援助を受ける貧困層を憎み、ワーキング・クラスを蔑むエリートを憎んでいる、と。ただ富裕層のことは尊敬しているらしい。その辺のまだらさが複雑な感情だよね。「遠交近攻」みたいな話に近いかも。それで敵の多い大統領を産んでしまうんだから、このワーキング・クラスってのはかなりのボリュームゾーンではあるんだよね。
他にも、アメリカの大学進学率が(日本の常識的な数字と比べて)低いとか、いろいろ数字は出てきて、なかなか興味深く読むことができた。