テクノロジーは貧困を救わない (外山 健太郎)
マイクロソフトのインド研で働いてテクノロジーと教育について考えた本。文章が多い。その割には言いたいことは最初の数ページで終わっている気がするのだが。で、このタイトルよ。私はテクノロジーの信者ですからね。テクノロジー以外のものが貧困を救えるとでもいうのか。と思って読み始めたのだけど、、、
テクノロジーは色々なものを増幅させる。勤勉を、怠惰を、快楽を、苦悩を。かなり納得のいく論だった。基本、手綱を握るのは人間であって、テクノロジーはそれを効率化させるための手段に過ぎないのだよ。言いたいことは単純なものであって、それだけにいろんな実例や考察を加えないと説得力が薄くなることは事実。それにしても文章が多かったね。後半はさすがに流し読みだった。
著者の、インドの経験ってのが大きいですよね。インドの状況っていろいろな見方ができて、貧富や階級の差もありつつ数学者やIT技術者も多くて、教育熱心なところとそうでないところの差も大きいし、都市も綺麗でなおかつ汚くて…画一的でないが故に様々な状況に直面できる。教育機会を生かして実力をつけて活躍する人もいれば、そうでない奴もいる。
本題とは異なるけれど興味深かったのは前半に出てきた、中国の検閲の話かな。危険思想を取り締まるというわけではなくて、集まって何かやる、というのを取り締まっているらしい。別に政府の方針に賛成であろうとなかろうと、みんなで集まろうというムーブメントは取り締まる。それで統制を効かせているらしい。さすがに中国人は賢いなぁ。日本もちょうど、共謀罪とか言いはじめてますが。
前半にはOLPCのネグロポンテの話とかも出てきたな。
それにしても、こないだの図書館の人もex-マイクロソフトだったし、マイクロソフトってそういうのに目覚めやすい会社なんですかね。それとも単にアメリカ人だから大金持ちになると慈善事業に目覚めるのだろうか。