つかこうへい正伝 (長谷川 康夫)
つかこうへいの評伝。つかこうへいの劇団員でライターで今も芝居に関わる仕事をしている著者が丹念に描く。結構長い本でした。
死んでたんですね、つかこうへい。私は芝居やら映像やらは見てないんですが、小説は読んでました。中学時代かな。その頃すでに代表作がいくつもあったと記憶している。そんなんで、私には小説家という印象しかないんです。何かの小説で早稲田のラグビー部と試合をすることになった主人公がボロボロになりつつ「オラァ、慶應よ」と啖呵を切るセリフが印象に残っている。あの頃は自分が慶應に行くのかと思ってましたが、自宅から遠いやら何やらで結局、早稲田に行くことに…。そんな私ももう40のオッサンですから、そりゃつかこうへいも死にますよ。
この人の芝居は結構凄かったみたいですね。作り方も独特。それほど多作ではなかったみたいだけど、同じタイトルで趣向を変えながら何度もやっていたようだ。なんかハードスケジュール感が。エッセイや小説の原稿もライティングの部分はうまくこの著者とかにやらせて自分は素案を作るのと赤入れするところをやったりしてうまくやっていたようだ。なるほど。これは最近で言えば佐村河内氏の作曲方法に近いかも?? それでもつかが赤を入れると見違えるように良くなったというフォローも入れていた。
なんか違和感があったのは、つかこうへいがセーラー服着た美少女中学生だったはずの女優と次のページで結婚してたりするところかな。犯罪では? あれ、別人か。登場人物が多くて理解が間違っているためかも…
国籍については私も特にこだわらないですね。作家の能力を左右するものではないし、作家の能力を推し量れるものは生み出された作品であって、国籍や人格ではないからね。人格破綻者であっても、良い作品を生み出せるのであれば私は評価する。石川啄木や野口英世みたいな奴は宮沢賢治のような人格者ではないけれど、良い成果物が出せていれば高い評価を与える。どんないいヤツでもクソコードしか書けないならエンジニアとしてはうんこだよね?