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山椒の実

洞窟オジさん―荒野の43年 平成最強のホームレス驚愕の全サバイバルを語る (加村 一馬)

親から虐待を受けて中学生で家出して、そのまま人間界を離れて洞窟に住んだ男が壮絶な半生を淡々と綴る。なんともすげー話。シロの話とか、サバイバル関連の知識を詰めた話とか、途中で優しかった兄に会う場面なんかもいいし、ドラマだよね。ただやっぱり人間界を離れて徒歩でいろんなとこに行ったり、自殺しようと思って失敗して富士山の樹海にも行くんだけど…

凄惨な話と思いきや、本人の資質か編者の特性か、暗さがあんまりないので普通に読める。悪人ではないんだよな。ただこの人相当汚かったろう。

実はこれには後日談があって、文庫になるときに大幅に加筆されたらしい。私が読んだのは前半だけだったのだ。結局このラストで世話になったところも抜けだしてしまうんだって。まあそんな感じもするよね。人間界に適応するのは苦労しそうだ。ただ人間だからいずれは適応できるんだろうと思う。