田代まさしが最初の出所後について記した本。まあ、割と元気に再起に向けていた頃の話で、その後また薬物で捕まっちゃうというオチがあるんだけど、出版時期から言ってそこまでは書かれていない。でもそれを知って読むと薬物の怖さがむしろ分かるというこのアングルね。絶妙なものがある。
この本の出版から次に薬物で逮捕されるまでに1年ちょっとしかかかってないわけだ。それも、無分別な若者ではなく、50過ぎて紆余曲折、酸いも甘いも噛み分けたはずの、いいオッサンがだよ? 割と寛大に仲間の支援も受けていた奴がだよ??
実際のところ薬物の恐ろしさはその手軽さにある、というようなことを(この本じゃないけど)読んだことがある。宣伝(?)では「ちょっと使ったら人生終わり→即廃人」みたいにしてるけど、実際軽くやってみると簡単に引き返せる。その手軽さに「なんだあの宣伝は嘘だったんじゃん」て安心して使っているといつの間にか抜けられなくなるっていうね。この人もそんな感じだったのかなぁ。事実、一定期間やめることはできてるわけだ。でもふとしたことで簡単にあっちの世界に戻っていってしまう。
私は薬物の利用者に対して罰を与えるのはちょっと違うのかなという感情があるんだよね。売人は裁かれ罰を与えられるべきとして、使用者はリハビリ&救済すべき存在なのでは?