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山椒の実

科学者は戦争で何をしたか (益川 敏英)

素粒子でノーベル物理学賞を受賞した学者で左派の闘士が語る戦争と科学者の関係。平易で読みやすい。深いことは言ってない。言ってるのは非常に単純な原理、「おまえら科学者である前に人間だろ!?」と。まあホント、大したことは言ってないな。誰もが思うことなんじゃないかという気もするし、そういうことを何にも考えてない人もいるんだろうなとも思う。

実際のところ、私も若い頃こういう類のことを考えていた。そして新卒入社して、最初に上司になった人に飲み会で聞いてみたことがあった。つまり、軍事関連の仕事があったらやるべきか否か。僕は敵を殺すために就職したわけじゃないから、やりたくないと思ってたんだよね。敵といえども命は重いよ。だから良心に聞いてダメなら会社辞めるしかないなコレ、と。

幸いにして軍事的な研究をさせられることはなかった。そう思えば悪くない会社だったな。

で、当時の上司は「そういう仕事があったらやって当然だよ」「何甘えたこと言っちゃってんの?」という反応。何の疑問も抱いていない。大丈夫かコイツ!? まあこの人とは分かり合えないと思ったね。 # その上司は順調に偉くなってったけどね。

で、歳月が流れて、こう思うようになったんだ。

それ、ビッグマネーが発生するならやろうよ、やっちゃおうよ。んでボーナスいっぱいもらおうよ! そして南の島で引退だ!!

おれも成長して、何事もマネーの前には無力なんだな、ということを原理として知ってしまったので。

でも、今はこうも思ってるんだ。

どうせ技術者として先は長くない。だから引退する前に人をたくさん殺すことになるのは嫌だなー、最後に嫌な思いするのは避けたいなー

あと、敵だと思ってたら実は敵の敵は味方味方の味方は敵だったのだ、みたいなことがあるわけだから、自分が良かれと思って開発に関わった兵器がいつの間にか自分や自分の家族に向いているなんてこともありうるわけだよ。ギヨタンやルイ16世がギロチンで死んだようにな。そういうのは困る。

おれは人類を幸せにするためにテクノロジー関連の仕事をしているのであって、敵の敵や味方の味方を殺すためではないのだよ。