ねじれた絆-赤ちゃん取り違え事件の十七年- (奥野修司)
沖縄で起きた赤ちゃん取り違え事件を追う。看護師のミスで取り違えられて、幼稚園年長の6才で発覚し、交換で元に戻そうとしながらもなかなかうまく行かずに…文庫本の追加まで含めると最後は30才くらいまでなるから、17年どころの話ではない。
興味深い話ではあるんだけど、読むんじゃなかったと後悔した。いや、悪い本だと言っているわけではないです。このテーマでこの分量を読んでしっくり読み終われるほど成熟した人間になってないんだろうな、オレ。
一人は交換を受け入れて、一人は最後まで受け入れられずに。選択肢があると不幸になるという感じがした。経済状況もあるし、家庭の事情もあり、親の選択も心情は分かるけど愚かだと思う部分もある。まあこれ、片方の母親がひどすぎたよね。しかし取り違えがなければここまでこじれたとは思えないんだよな。
また、受け入れられた方の親(特に母親)は称賛気味に書かれているけど、やっぱりこの人の行動にも相応の問題があるように感じる。
自分も人の親であるわけだけど、子供たちに充分な愛情を注いでいるのかと言われると自信が持てなかったりする。もともと子供好きなタイプの人間じゃないんだよねオレは。小さな子供にとっては全知全能のように思えるかもしれないが、完璧な親などどこにもいない。
まあ愛情や憎悪に充分という概念はないという気もする。愛すれば愛するほど愛情は限りなく深まり、憎めば憎むほど憎悪は限りなく深まる。限界はないんじゃないか。なんて思ったりもする。