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山椒の実

鳩の撃退法 (佐藤正午)

佐藤正午の小説。佐藤正午は決して期待を裏切らない、ということが改めて証明された気がする。

主人公が小説家で地の文もその小説家が書いた文章というていになっていて、古本屋や床屋のおやじ、女たち、本通り裏のあの人など、いろいろな人が出てきて小説家と小説を翻弄する。まあこの設定で確実にあるであろうという混濁を織り込みつつ、最後はすっきりまとめてくる。読後感は何とも言えないもので、スッキリ感はないけど納得している自分もいて、しかしいやこれは…という思いも持つわけで。だいたいこれさ、直木賞て2回も受賞できないでしょ?

異様に長い段落があったりするんだけど、それでもすんなり読める文章。不思議だ。このへんが著者の文章の力なんだろうな。しかしまあ、これ読んでよかったよ。本当にそう思う。

話は変わるが、先日本屋に行ったら何と「ミレニアム」の4が出ていた。著者は死んだから当然交代。登場人物は当然また出てくる。いいのかそういうの。あのレベルの小説を書ける実力があって、なおかつ書いてくれる後継者がいるのか? 賛否両論というか否論が出るのはわかりきっていて、賛論がどの程度出てるのかどうかが気になるな。出来はどうなんだろう。まあFAST16の論文もダウンロードできるようになったし、他の本もあるしで、しばらく忙しくなるから読まないけど。いつか読もう。