ウィキリークスの内幕 (ダニエル・ドムシャイト-ベルグ)
WikiLeaksのナンバー2で広報担当みたいなことをしていて、ジュリアン・アサンジと喧嘩別れした著者が書いた本。
まあ喧嘩別れした一方の主張だけだから、その辺の内容は差し引くとしても、WikiLeaksの内部事情を書いた読み物としては単純に面白かった。技術的にもある程度まともな状態だったみたいだ。まあ、最初と最後の方はムチャクチャだったみたいだけど。
著者はこの本を記述した時点ではオープンリークスを立ち上げたところみたい。オープンリークスはこの本で初めて聞いたくらいで、あまり存在感がないよね。ドイツ語サイトしかないのかな。
これって結局はでかいネタが持ち込まれるか否かで、でかいネタを持ち込もうと思えば有名ででかいマスコミとつながりがあるところ、という感じになる。WikiLeaksはそういう意味でのブランドというものがある。本当はマスコミが自分でこういうことをやればいいんだろうけど、技術がないし組織を背負っているといろいろ守りたいものもあって怖いので、マスコミ自身はこういうことができないんだろうな。あとマスコミが情報源の匿名性をちゃんと担保できてるかというのがあるし、またマスコミ向けなのかどうか、という話もある。告発先として何を選ぶかという話。単に警察や労基に匿名でタレこみたいだけのケースもあるわけで。
本には技術的なことはさらっと書いてあるだけだが、技術で匿名性・機密性を担保する仕組みは興味深いものであって、たぶんこうなってるんだろうな、と想像しながら読むのも一興。
まあこれだけ書いといてナンだけど私は内部告発というもの自体にはあまり興味がないのだが、技術的に内部告発サイトとしての要件を満たすにはどうすればいいのか、みたいな話だったら少しは興味が出てくるのですよね。人間関係みたいな話については正直、退屈だった。もともとエキセントリックな人々同士の関係で、それを記述することに何の意味があるのか…
それでも、一番おもしろかった場面は、白いTシャツを作ってしまい、ダサすぎて全然売れなかった話かな…