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山椒の実

幽霊たちの不在証明 (朝永理人)

開幕が酷すぎる。何なんだこの高校。かなりイライラするななんか! かなりな!! イライライライライライラ…エセ陰キャが、次々に女の子とばっかイチャつきやがって。とっとと爆発しろ! 今すぐ!!

マジで読むのやめようかと思ったよ。あまりにも、あまりだ。

まあ事件が起きてからはリアル陰キャが出てきてエセ野郎に突っ込みを入れてくれたから良しとしといてやるか。

しかし唐突とも思える解決編は圧巻だった。あれ、材料そろったのこれで?? からの。

殺人事件が起きたので謎解き配信してみました (越尾圭)

動画配信をする若者たち、そこにプレゼント企画による殺人事件が起きたら? 推理の配信が冴え渡る。

いやでも、自宅PC共有の警察官が家族に内緒で動画編集するのはかなり難しいと思うんですよね。とんでもない超人なのかな。AIエージェントにやらせているふうでもなく、人を雇ってもおらず、自分ひとりで。能力者だけに、推理も冴え渡るってわけだよ。

しかし主人公の推理自体は直感で当てすぎ? なんじゃないかな。根拠が薄いのに当たるという。絞り込めてないのにいきなり言ったことが偶然真相だった、て感じ。そこは推理小説としては弱いとこかな。

風神館の殺人 (石持浅海)

館モノの推理小説。非現実的な間取り図、一癖どころではない登場人物たちがクローズドサークルで…やめるんだ、復讐は何も生まない! いや、死を生む!!

嫌いじゃないんだなーこういうのも。一体何人死んだんだこの話。

やっぱ風力発電ですよね有望株は。エコで素晴らしい。

登場人物が多くて最初は戸惑ったが、人数も減るしキャラもしっかり特徴があるし、ちょうどいい人数だったと思います。誰が犯人か、最終盤まで目が離せずドキドキしました。

いつか、虹の向こうへ (伊岡瞬)

ハードボイルド小説。居候と暮らす元刑事。幸福が次々に逃げ出し、どん詰まりに落ちたあとのメンバーの、つかの間の団欒。それは不幸の前触れに過ぎないのか。

チンピラとのバトルに始まり、ヤクザに殴られ、刑事に小突かれ、ヤクザにまた殴られ、さらに色々あってボロボロになりながら殺人犯を追い、ヤクザの抗争を暴いていく。

しかしヤクザは殴りすぎでしょ。あんなに気軽に殴って拳を傷めないんだろうか。ちょっとしたグローブくらいしてて欲しい。結局は骨の硬さだから、組成から考えても殴った側と殴られた側で強度はそれほど大きな差ではないはずで。まあちゃんと骨のないところを狙ってるんでしょうけどね。

行き先はきくな (くみた柑)

あらすじがダジャレしかないんだが。この本では何が起きるのか。誘拐事件を軸にしたダジャレ群像劇。東横線の大倉山を中心に。あのへんを支配する財閥、KSG出てくんのかな。

実は私はこのあたりに住んでいたことがあるので土地勘があり、ただトレッサできる前だからだいぶ昔の土地勘ですが。菊名を目指しながら全く菊名に向かわない。最終的にはオールキャストで逆に綱島に向かうという。

不思議とイライラしないね。まあ菊名か綱島かっつったら俺も綱島の方が好きだよ。菊名なんて乗り換え専用駅みたいなもんだしね。普通は降りない駅だった。

噓つきは殺人鬼の始まり SNS採用調査員の事件ファイル (佐藤青南)

SNS裏アカ調査連続殺人事件。企業から依頼を受けて学生の裏アカを探して報告するという不幸しか呼ばない業務をする主人公。そこに内定取り消しを受けた女子大生が怒鳴り込んできた挙句、探偵を始める。なんだこの導入は。

いろいろあって連続殺人が起き、探偵コンビが犯人に迫っていくわけだが。ラストはなかなか切ないな。

まさかあの人がスイッチヒッターだったとは。こういうのがあると利き腕を推理の根拠にすることはできなくなる。いやスイッチヒッターだからこそ犯人になれる可能性もあるな。

だるまさんが転んだら (堀内公太郎)

小説の盗作に関する話。若干バイオレンス寄り? まあ作家志望や編集者は書きやすいんだろうなあ。

構造としては、専業の人たちがやっている世界を副業の人が荒らしに来る、みたいな話。むかしDJかなんかの人が書いていた文章を思い出す。俳優だかアイドルだかがゲストでDJやってくのを苦々しく思っていたのに、今は自分が副業で文章を書いて文筆業の人の世界を荒らしてしまっているのだ、みたいな。こっち来んなよと。

この展開で殺人が起きると思わなかったな。ちょっと安心していたら、最後はちゃんとミステリになった。

マトリョーシカ・ブラッド (呉勝浩)

神奈川県警、マトリョーシカ、遺体。なんという魅力的な3点セットだ。真相はいかに。なかなか良かった。舞台は私の地元に近い。現在はだいぶ様変わりしている場所が多いと思う。根っこは変わらないんだろうけど。

なんやかやで解決するとは思えない体制で事件が捜査されてゆく。誰もが隠したい、誰もが闇のままで終わらせたい事件。恐れを知らぬ、特技が顔色伺いな金持ち御曹司刑事がハードボイルドにその闇を暴く。感じた違和感を大事にするんだ。成長を見せてみろ。

絶望の底で夢を見る (石井光太)

優れたルポライターが、さまざまな困難を抱える人々を記述する。それぞれに深いものがある。

著者の祖父の話は良かった。他にもゴミ屋敷の話、震災の話、ハンセン病の話など。性愛の話もあったな。語りきれない、それぞれの物語たち。著者の状況も関係する。

カメムシのくだりはなんていうか、印象に残った。そんなことまで書かないでいてほしかったような、あるいはこの記述があるから心に残るような。

世の中には、どうにもならない困難というものがある。自分の力でもどうにもならないし、他人の力を借りてすら厳しい。そういう時、人はどうするのか。どうするにしても、どうにもならない。それが苦しいんだよなあ。

六人の赤ずきんは今夜食べられる (氷桃甘雪)

童話をベースにしたホラー推理アクション?

果たしてこれは設定を生かせているのか? 秘薬の種類が多すぎるしキャラもあんまり強くない。戦い方もうまく描写できてないんじゃないかな。映像化狙いで6人の若手女優出せばいいんだろ、みたいな感じだったり? そんなわけないか。

いろんな要素をまとめきれなかった印象。秘薬設定を頭に叩き込み、こいつの能力はコレ! と指差し確認させておいて、いや渡せんのかよ、落とすのかよ、知らん薬隠し持ってんのかよ、と怒涛の混沌に巻き込まれた。サイコ野郎はこいつ…じゃなくて影が薄い方で…のように二転三転させた割に、最終的には位置エネルギー物理攻撃で戦う無意味さだ。能力組み合わせパズルと人狼設定はどこ行ったんだ。万有引力なんてファンタジーじゃないよお…