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山椒の実

Category: Biography

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉 (中村哲)

中村哲さんの書いた文章と写真を混ぜてまとめた本。医者が、たくさんの命を救うために治水に取り組む。遠くアフガニスタンの地で、故郷の知恵を使って。 本質的なゴールへの意識を忘れない話で、『ファクトフルネス』にも似た話があったけど、医者とは何か、が問われる話では、あるよね。もともとアフガニスタンは農業国だったのに、戦乱と気象変動のあおりを受けて荒廃、農地を失った人が生きるために武器を取り、何も理解しない西

悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト パガニーニ伝 (浦久俊彦)

とりあえずヴァイオリンがとんでもなくセクシーだってことがマン・レイの「アングルのヴァイオリン」を紹介した一節と画像で分かった。なるほど。 それはいいとして、ヴァイオリンという楽器の特質を大いに語ってくれる、大ヴァイオリニストとして歴史に君臨するパガニーニの伝記。真面目な歴史の話でもあるが、記述に勢いがあって面白く読めた。思い入れが強くて知識が豊富な文章ってのは、読んでて面白い。 悪魔云々はどうでもいい

開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学 (川田利明)

タイトルなげーな。伝説のプロレスラー川田利明が郊外のラーメン屋を10年続けて、俺たち後輩にその経験を語る。 うーん、まあ、俺はラーメン屋やる気なかったけど、今後も思わないようにしとこう。文章はすごく面白かった。庶民向けの飲食業って、全般的に茨の道ですよね。単価が安すぎて割に合わないんだろう。コロナがない頃でも厳しかった。コロナで持ち帰り専門の業態にしたら逆に楽になったとか、あるのかな。ラーメンみたい

ホームレス中学生 (田村裕)

以前にかなり話題になっていた芸人本。家族解散後の少年の成長を記述する自伝。テンポも良くて、楽しめた。苦労した人は多い業界だと思うけど、その中でもかなりのレベル。いい奴だったんだろうね。助けを受けて生き続けた先に、ブレイクした後のことは読者の知識と想像に任せて…周囲の人への感謝がほとばしる。芸人本の中ではいい本の部類に入るんじゃないかな。純粋に文学としての評価は別になるだろう。 いい話にまとめようとし

南雄太 型やぶりなゴールキーパー (野上伸悟)

あの南雄太のキャリア序盤までの軌跡をたどった書。子供向けですね。桁外れな身体能力、並外れた強心臓。どうしても我々はキャリア中盤のあの事件を知っているから、それを意識して読まざるをえないっていうね。田代まさしがもう薬やらないって本を書いたのを、そのあとまた捕まった事実を知りつつ読むのと似ている? ただ好GKだったのは間違いないよねえ。 「かたやぶり」というと最近ではドリュウズかな。ポケモンの。あと私は最

わいたこら。 人生を超ポジティブに生きる僕の方法 (新庄剛志)

新庄の自伝。なかなか振れ幅の大きい人生を送っている。ポジティブに書いている…というか口述している。ちょっと無理してんじゃないの、とハラハラする気分にもなりながら読み進めた。 計算し尽くされた野球人生の終わりに、信頼していた人に騙されて20億円を失ったが、それをも楽しむというね。私はあの清原本を読んだ後にこの本を読んだんだけれども、考えてしまうのは「どうしてこうなった清原…」になってしまう。幼少期の境

清原和博 告白 (清原 和博)

清原のアレね。 ページをめくるたびに気が滅入るのだが、読まずにはいられない。あの清原へのインタビューを長期に渡って重ねた、そういう本。ただ遠くにボールを打ちたかっただけの少年が、どうしてこうなった。 アンサー本を先に読んだのだけども、そこでは対戦相手を太陽のように照らした清原の現在地。今は傷つき弱って、そこからこれまでの人生を振り返る。それは当然のことながら美しいだけの人生ではなく、歪まされ、暗さが支

知られざる皇室外交 (西川 恵)

天皇が皇太子時代から含めて外国に赴いたり、あるいは客人をもてなしたりする。その中でどのように振る舞ってきたのか、ということを記した本。 まあこれ、すごい話ではあるよね。一人(皇后もだから二人か)の人間にそれをさせて、その上で成り立つものがある。常人にはとても真似できない。 あと、自分も節目節目で短歌でも作ろうって気になるよね。これからスポーツ観戦の感想とか本の感想を書くたびに短歌作るようにしようかな。

「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか (丹 道夫)

誰もが知る「富士そば」の創業者が半生と経営哲学と演歌を語る。 今の会社の最寄駅にも2軒ほどありまして、カツ丼が特に旨いので時たま食べに行っております。もう少し歩くと安いカツ丼屋さんがあったりもするし、新潟系のソースカツ丼と「へぎそば」を食える店があったりもしますが、それでも安くて、勝るとも劣らない出来の富士そばは偉大だと感じている。入りやすいしね。カツ丼オススメですが、今度天ぷらも食うかな、という気

組長の妻、はじめます。女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録 (廣末 登)

関西の女ギャングの半生をつづった本。まあテンポも良くて読みやすい本だったと思うよ。なんというか…GTAな人生って言えばいいのかな。 組長の妻、を前面に押し出したタイトルは内容とは乖離がある。これは組長の妻の話などではない。確かに最終的には旦那が組長になったんだけど、一人の女ギャングの話。悪事としては覚醒剤と車泥棒がメインで、多くの手下を使って手広くやっていたような記述。社会にとっては迷惑な話ではある