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山椒の実

サッカーピラミッドの底辺から (後藤貴浩)

少年サッカーの現場を取材した本。よく書けてると思います。私も小学生の子供がクラブに所属してるんだが、見聞きしたこととだいたい一致している。関係していないと分からない構造を解き明かしてくれている。価値のある、いい本だよ。著者は学者でもあり、サッカー人でもある。そういう人が書いた本。

ソレッソ熊本。名門クラブですね。こないだ全国大会的な大会で川崎と対戦して勝ってた気がする。出身Jリーガーがいるっていう話だったので調べてみたら、こないだすげーゴールを決めやがった奴も出身者だった。なるほど。全国的にもエース級のクラブ。

若葉SCは詳しい記憶がないが、たぶん練習試合したことある。そんな気がする。学校ベースの街クラブで、保護者有志が指導するタイプ。保護者ってあんまり子供の指導に向いてない面もある。私も試合が組まれれば横目で見るくらいだ。アウェイに連れて行く必要があれば、連れて行く。で、会場の近所を観光したりカフェ、スーパー温泉などで時間を潰す。ホームなら基本は放置で、たまにこっそり見に行く。子供が話をしてくる時は聞くし、横目で見てるときに活躍してたら、ひとことコメントする。そのくらいの距離感を保つようにしている。対戦相手のチームで上手い子に勝手に二つ名をつけてプロになるかななんて想像したり。「のしちりのクリリン」とかさ。

親のイメージでは我が子ってのは「無双するべき存在」なんだよね。できっこないんだが。で、なかなか上手くならない上に練習量が足りない、体力も足りない。最初から差があるのに、どんどん差が広がっていく。そのように思えて、イライラする。こうなると良くない傾向だ。実際はしばらく見ないでいると、成長してることが分かる。見すぎると気づかないんだ。クラブカラーもある。うちでは保護者は口出ししてはいけないことになっている。傍目には統率なく、キャッキャ遊んでるだけ。それでも、いいんだ。親みたいな奴はあまり関わらないほうが子供も楽しめるし、伸びるんじゃないかな。

その後も熊本の事情、調布での取り組み、大阪やシンガポールの話など、多くのクラブが語られていく。状況にそれぞれ違いはあるが、共通して言えるのは「儲からねーな」ということか。現実を見ながらも情熱先行。現実を見なかった人は淘汰済み、ということなんだろうな。