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山椒の実

東芝 原子力敗戦 (大西 康之)

江戸時代のからくり人形師から始まった、140年の歴史を持つ東芝。まあご存知の通り潰れようとしていますけども、何が起きたのか。

WHの買収で下手を打ってそれを誤魔化そうと奮闘してたんだろう、という話なんだけど、自分としては売上高5-6兆円の企業が6000億? くらいの買い物をして潰れるほどの問題になるというのがちょっと納得いってないんですよね。値段の問題ではなく、つけていた条件がおかしかったという話なんだろうなぁ。

原発の建設の契約についてはよく知らないのだけど、作っているうちに規制がきつくなってじゃんじゃん損失が出るというのがわからないところ。規制みたいな外的環境が変わって追加工数が出た、という理由では発注元に追加工数ぶんの請求をできないもんなの? 真っ当なソフトウェア屋さんなら、要求仕様が変わって、追加工数で足が出る場合は正しく請求する/したいよね。受注側に瑕疵はないわけだから。

まあ原発に突っ込んだ後に東日本大震災を受けるという引きの強さは確かにひどい。WHの買収をすべきでなかった、というのは後付けすぎる論評だが、311の後なら撤退すべきだったというのは妥当な論評と言える、という感覚はあるね。東芝の場合は会社の方針よりも前に国策というのがあって、それに依存しすぎてしまったという点は特異な面がある。官公庁との関係が強すぎるとロクなことにはならないよな。最後は切り捨てられる。国からすれば、切り捨てていいというメリットがあるから民間会社を使うわけだからさ。原子力なんて、本来は国営でやるべきことなのよ。

だけど国策に従っていることで140年も生きながらえ売上高5兆円超えて、なおかつ今にも潰れそうでまだまだ潰れてないというポジティブな事実があるのは見逃せない。