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特異なケースについて

青色LED訴訟、200億円支払い命令 東京地裁(asahi.com)。中村さん、おめでとう。日亜化学は中村さんの功績を知れ。

世紀の発明といわれる「青色発光ダイオード(LED)」の特許権を譲り受けた会社が、発明者に支払うべき正当な対価をめぐって争われた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。三村量一裁判長はまず、発明の対価を604億円と算定。そのうえで、発明者の中村修二・米カリフォルニア大学教授(49)が発明対価の一部として勤務していた会社に請求していた200億円を全額認めて同社に支払いを命じた。

判決文(courts.go.jp)もどうぞ。

この判決は金額の算定の根拠も正しいと思う。他社へのライセンス料を算出したわけで、製品化や営業費用などは他社が負担する費用なので排除できる。その上で、ライセンス料だけでも1200億円儲けることができ、つまり会社はほとんどなにもせずに1200億円の利益を上げられたはずだと示した。この会社はそれ以上儲けようと思って他社にライセンスしてなかったわけだけど、そっちの数値で計算しようと思ったら複雑になってやってられない。会社側は控訴するということだが、上級審でも同じような判決であることを願う。

中村さんが金額にこだわっていい発明は評価してくれることになり、日本の技術者たちは報われるだろうなどと言うのは、落合(現中日監督)さんの初1億円プレーヤー、初3億円プレーヤーという偉業に似ている。自分がその金をもらいたいというよりも、研究者を志す子供たちに夢を与えたいのだ、と解釈したい。

しかしながら一つ言えるのは、やはりこれが特異なケースだということだ。通常はここまで人類の技術史に貢献できる発明を特許にできることは少ない。企業の研究部門の場合、出願費用や弁理士への費用はもちろんのこと、研究費、開発費その他すべてを会社が負担し、なおかつ出願されるだけで社員は報償金(保証金だっけ?)がもらえる。それでいて実にならない発明も多い。企業の出願数はやたらめったら増えるけど、なかなか儲からないのだ。

一時期日本の企業は特許の出願数で競っていたけど、現在は出願数をなるべく減らす方向に動いている(特許庁の要請もある)。私の会社も最近は選別するようになったが、やはり特許のノルマがあって、どんなひどい内容でもとにかくひねり出さなければならない。特許制度にあまり納得していない私のような人は「特許を取る」というノルマ仕事(私の感覚では特許関係は雑用だ)にやる気も出ないし、出せば出したで忘れた頃に面倒な仕事が降ってきて困る。もしかして「面倒」「雑用」だと感じている時点でダメ社員?

大学時代に特許を取るのが好きな先生が言っていたけど、弁理士さんを使わずに自分で出願すると3万円くらいで出願できるらしいよ。弁理士さんに頼むと30万くらいになるんだったかな。その先生は自分で出願していた。当時は趣味の域だなーと思ったけど、3万で済むならある意味、「自分が生きていた証(あかし)」みたいなのとしてもいいのかもしれない。査読があるぶん、自叙伝の自費出版みたいなもんより偉い。子孫にも権利を残せる。立派なものだ。がんばれ>今どきの老人たち。