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試算 version 0.1

カネ勘定の話をしよう。

というのも、あなたの今後の数年の人生を変えてしまうかもしれない自民党の総裁選で、亀井と藤井というそれほど有望でない候補が「真水10兆円の財政出動で2〜3%の経済成長」を唱え、高村もけっこう積極的っぽいからだ。最も有望な現職の小泉は積極財政には否定的で、2006年に2%成長、「2010年(つまり7年後)に財政を黒字化する」と言っている。

それが何を意味するかを計算してみたいのだ。あらかじめ、この計算が甘いモデルに基いているだろうというのと、計算が間違っているかもしれないというのは言っておく。だからversion 0.1にした。読んだ人が誤りに気付いたらぜひコメントを。私は素人だがこういう議論が見たいのに、誰も数字と計算を書いてくれないのだ。経済というのは勘定であって感情じゃないんだよ。

前提条件としては、現在の国債の返済と金利支払いの合計が20兆円で、国債の発行総額が30兆円。税収が45兆円というものだ。国債の発行総額はざっくり700兆円だがこの700兆円の完済は遠すぎるので計算には含まない。

では。

積極財政で国家の台所に負う傷については計算するまでもない。で、その傷を治すのに何%の経済成長が必要か、そして何%の成長率が見込めるかっちゅう話が必要になる。政策は経済に影響を与えられないという説も見たことがあるけど、その話はまた別。

まあ10兆円で済むのかどうか知らないけど、とりあえず10兆円国債発行額が増えたとしよう。

成長率が固定で0%だとすると、債務の返済と金利の支払いが税収を越えたらもう「詰み」だ。今はまだ20兆円くらいということは、税収の2/5くらいが返済に回っているだけだけど、この率がまたどんどん増えているわけだ。この負担を減らす(黒字化)には国債の発行を20兆円以下に抑える必要がある。ここまではサルでもわかる。必要なのは、税収の増減と国債発行額の両方が曲線になった場合のシミュレーションだ。これも支払いが税収を越えたら「詰み」。

まずは返済額。30兆円枠を守ってなおかつ10兆円ずつ借金が増えていて、金利が固定で低めの1%/年とすると、毎年支払いが1.1兆円増えていくということになる(20+1.1*x)。これを10兆円追加して20兆円ずつ増やしていくとすると、1年に2.2兆円(20+2.2*x)の増加となる。

次に、成長率。単純化のために税収の成長率が経済の成長率と同じってことにしておく。

バカみたいに成長を続けた戦後の高度経済成長の頃は成長率が10%程度までいっていたから、そう考えて税率を固定にする(税収の成長率が10%)とすると、今45兆円の税収で(実際今年はもっと低いが)、(45*1.10**x)で10年後には税収は116兆円になる。楽勝。

バブル期の成長率は5%程度。同じく10年後の税収は(45*1.07**x)で72兆円。

まあたぶん亀井は3%くらいの成長を目論んでいると思う。(45*1.05**x)で60兆円。

1〜2%の成長では50〜54兆円まで回復。現実にはマイナス成長で税収は減っているが、マイナス成長の-1%だと40兆円に減る。

このモデルでグラフ(下図:gnuplotのグラフわかりづらいっすね)にして見ると、すでに30兆円枠を守った(bond-base)としても経済は3%くらいは成長してなきゃ(tax+3%)悪化するだけになる。10兆円の積極財政(bond+10)では3%の成長では不足。30+10兆円を投入し続けてなおかつ-1%のマイナス成長を続けると、10年で国の財政は詰む。資本主義の常で、発展し続けなければ死、だ。

まあ、仮に10兆円の投入が1度で済むなら10年間の税収増加がちょうど10兆円だったらバランスが取れる。これは毎年0.4%も成長すれば現状維持。…維持じゃしょうがない。30兆円枠の前提となるベースの成長率の期待値が3%だから、3.4%成長ということかな。(まあ、あいつらどうせ1回じゃ済まさないよね。調子に乗って毎年やりそうだから上のモデルのほうが現実的ではある。)

成長率と財政出動の結論としては、次のような感じかな。

  • 現在の小泉政権の控え目な借金のペースは毎年3%の経済成長を前提としている。しかし2%成長が目標。ゆるやかに悪化。
  • 亀井藤井の積極財政のようなギャンブルをして日本の経済が回復するかどうかという点は謎だが、5%の成長を約束できなければ+10兆円の積極財政を採用すべきではない。そして…あのおっさんは5%の成長を約束しておらず、2-3%と言っている。つまり小泉目標よりも急激な悪化をさせると宣言している。
  • あるいは一度限りのダッシュとして10兆円を投入する場合には10年の間小泉目標+0.4%くらいの経済成長率を約束しなければやはり財政は悪化する。(やはり2-3%の成長では改善しない。)

次に小泉の2010年黒字化という話だが、歳入の増加はさほど望めない。そして歳出を10兆円減らせば(20兆円枠を作って守る)実現できるが、それを実行するのは今のところ夢物語のように思える。もしこれを本当に実現するつもりなら、かなりの裏技を使うのではないかと思う。恐らくこないだNTT株を放出したように、国が持っている資産を切り売りしてスリム化&健全化していく手法が取られるのだろう。

会社の事業報告書とかを眺めて楽しんでいる人ならわかるが、資産を減らしていいなら黒字を出すのは難しいことではない。しかし国の財政ではおそらくこの作業は官僚や常識人には無理で、竹中はそのための駒なのではないかなと思った。あのおじさんも大変だな。…というか、そういうことをやると思っていたがなぜか今までやらなかったので実は何もしないのかも(笑)。

さて、小泉の圧倒的優位と言われる中、我々としてはどちらの策に期待すべきなのだろうか?

おれが元首なら、小沢一郎に国をまかせる(ほんとかよ)。