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電力危機とmy.mp3.comの扱いの違い

Lessig Blog (JP):ポール・クルーグマンの鋭いコラム(cnetnetworks.jp)より。元ネタのコラム(nytimes.com)もどうぞ。

RIAAの主張では、カリフォルニア州民から90億ドル騙し取る方が、P2Pサーバから10曲ダウンロードするより安くつくということになる。

刑罰の公平さについての話。RIAAは4人の学生に1000億ドルを請求した(ただしこれはまだ裁判中)。

結着がついた話としては、mp3.comははるか昔、my.mp3.comというサービスを開発した。CDを持っている人にのみMP3を提供するサービスだ。これにRIAAやレコード会社が噛みついて5400万ドルをむしり取った。

一方カリフォルニア電力危機で市民に90億ドルの損害(電力危機時の長期契約によってバカ高くなった電気代のぶんは含まれていない)を故意に与えたとして、電力会社に100万ドルの罰金が課せられた。この軽重はどうなのか。レッシグ先生は次のように結んでいる。

カリフォルニア州民から90億ドルを騙し取っても100万ドル払えば済む。だが、人々がすでに購入したはずの音楽へのアクセスを容易にする新しい技術を開発すれば、5400万ドル以上を支払うことになる。

これがわれらの時代の価値観というものだ。

思い出すのはビル・トッテン先生のコラム経済犯罪に厳罰を(ashisuto.co.jp)だ。やはり似たことを言っている。

彼らが犯した経済犯罪の金額の多さと、その社会に与えた影響を考えたときに、実刑ではなく、ほとんどが執行猶予になることはどうしても納得がいかない。エリート集団がその地位を利用して株主に巨額の損害をもたらしたり納税者から数千万円を奪ったり、何億円もの預金者の金を流用するという行為が凶悪犯罪ではないとしても、経済力や権力のある者は罰を逃れられるという不公平感は、一般の国民の法律を順守しなければいけないという意識の低下につながるだろう。

「史記」や「春秋左氏伝」(のどちらか、あるいは両方。忘れた)にもあるように、刑罰が公平でないと人を治められぬ。今も昔も変わらない。